出産の記録

手術当日昼

夫と部屋で待っていたら「お待たせしました〜」と呼ばれたので、点滴の棒を転がしながら手術室へ歩いて行く。夫とはロビーで一旦お別れ。

初めての手術室、すごく広いなと思った。手術台に登って、心電図やら血圧測定のための機器を手際よくつけられる。

手術台の上で横を向いて丸まって、麻酔2種のために背骨に3回くらいチクチクとした痛みが走る。「管を入れるので少し気持ち悪いかも」と言われながら何かがムニッと入る感覚があり、かなり気持ち悪かった。この時の心拍が1番早かった(と思う)。少し恥ずかしくて、「心拍、めちゃ聞こえるのでビビってるのわかって恥ずかしいですね〜」と言ったら「自分の心拍聞く余裕があるなら全然大丈夫!」と返された。

麻酔が効き始め、足が正座を頑張った時のように痺れ始める。尿管を入れられ「ひふふふふ」と声が漏れてしまったが、「正しい反応!」と言われた。その後はどんどん麻酔が効いてきて、脚などの下半身の境界が曖昧に、広く、太くなった感じがした。麻酔が効いている下半身に触られると、バランスボールの上に乗って跳ねているときのような感覚だった。「麻酔の効き良い方だね〜」と言われた。(効かないより効くにこしたことないし、ラッキー!)とか考えていた。

「手洗ってるから待ってね」と言われていた先生が到着して手術開始。先生の助手?の方が経験値積み中だったのか、「これが腹直筋」と説明されていて、(腹直筋!!わたしにも見せてくれ)という言葉を頑張って飲み込んだ。

『出てきたよー!』の前から子が泣き始めたようで「え!もう泣いてるよ!」と言われながら、出てきてしゃがれ声で泣く子(羊水が口に入っているとガラガラするらしい)。小さい。

「これが胎盤」と先生がまた説明している声が聞こえたので、「(胎盤は外に出してポイするはずだし)見たいです!」と言って見せてもらった。「身長の割に大きな胎盤だよ〜」と褒められた。

手術時間は31分。その後、血を拭いたり色々したので、1時間弱で手術室をあとにした。手術台からストレッチャーへの移動は寝転がったままビニール製の敷物を背中側に敷かれて引っ張られたら移動できていた。何が起きているかよく分からなかったが、スムーズに移動できておもしろかった。

ストレッチャーに横たわったまま夫と再会。ストレッチャーに横たわったまま夫と話すなんてドラマの中でしか見たことなかった。子を連れてきてもらってロビーで記念撮影。子はベビールームへ戻って、夫とわたしは部屋に戻って、わたしが急変しないか夫による2時間弱の見守りタイムが始まった。わたしが普通に元気なので、飽きてきた夫は部屋の電気を消して、壁につけられた懐中電灯を手に取り、顔を下から照らしながら、産婦人科にまつわる怖い話を披露してくれた。怖くなかった。何事もなく2時間弱が経過して、夫は家路へ。

手術当日夜

まだ麻酔が効いているので、産褥パッドの交換を助産師さんがしてくれるのだが、寝転がったままお世話をしていただくので(わたしが赤ちゃんじゃん…)という気持ちになった。

夕方、痛み止めの座薬入れてもらう。座薬、全然痛くなくて、子どもの頃の座薬に対する恐怖の記憶はなんなの…?医療の進歩?と思った。

普通の反応とのことだが、発熱した。暑いのでクーラーをつけた。部屋にきた助産師さんに「この部屋寒いですか?」と聞くと、「涼しいな、と思った」と言われたので、熱ですごく暑い旨を伝えて、アイスノンをもらった。それでも、暑くて汗が止まらないので、エアコン24度強で動かし、オフタイマーをセットして寝た。オフタイマーは、機能せず朝までクーラーがバッチリついていたが、夜中に点滴チェックに来てもらった時にうっすら目が覚めるくらいで、朝まで爆睡できた。

手術翌日

誰にも見守られることなく、起き抜けの5:50にガス(放屁のこと)が出た。要報告と書かれていたので、朝様子を見にきていただいた際に報告した。オナラの報告なんて滅多にできないな。

ドラマで見る麻酔追加のカチカチを押したかったが、朝、仕舞われてしまい押す機会を失った。残念…。

おしぼりでの顔拭きだけ許されたので、発熱でかいた大量の汗でべったりした顔を拭いた。さっぱりした。ベッドの上で歯磨きというなかなかできない経験をして、「今日の朝ごはんね〜」と出されたペットボトルの水をゴクゴク飲んだ。

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すごく美味しかった。

相変わらず下半身はぼんやりしているので、ぼーっとテレビを流していたら、手術をしてくれた先生が「寝れたー?」と様子を見にきてくれた。「爆睡でした!」と返したら「よかったよかった!」と出て行った。(回診ってすごくアッサリだなぁ)と思っていたら、回診は別の先生が来たので、わざわざ時間見つけて来てくれたよう。ありがたい。

その後体拭かれて、再び(わたしが赤ちゃんじゃん…)と思っていたら、「お尻のリフトアップが素晴らしい」と褒められた。

座薬を入れられて1時間後くらいに「歩いてみましょうか〜」となったので、久しぶりに地面に対して垂直になった。腹の傷がぽかぽか熱かったが、痛みに鈍感なのか薬のおかげなのか歩けた。

歩けたからなのか、午後に予定していた尿の管が抜かれ、「最初のトイレ行く時はナースコールしてね」と言われる。管があった時は尿意を感じてないのに排尿していたが、管がなくなったらちゃんと尿意を感じるのか不安で仕方がなかった。

希望していたランクの部屋がいっぱいなので、1つ上のランクの部屋に料金同じままで、とのことで豪華な部屋へ移動した。移動の前にベビールームで子と対面。新生児微笑をたくさんしてくれて、相変わらず泣き喚かないので(もしかして賢いのかな!)と思った。

部屋に着いたら「こんなにスタスタ歩けてすごい!」と褒められる。たくさん褒めてくれるので嬉しかった。

お昼ごはんは、液体だらけだったが出汁がとても美味しかった。

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12時半頃、尿意をなんとなく感じ、点滴も終わっていたから最悪尿が出なくても良いかと思いナースコールをした。トイレの外で見守られながら、最初に少し痛みがあったけど無事排尿できた。

15時頃、夫と電話していたら安心したのか便意を催した。しばらく固形のものを食べていないのにどうやって生成したのだろうか…人体は不思議だ。

この頃になるとベッドに寝転がったりベッドから起き上がるのが痛いくらいで、普通に歩けたので、(早期離床早期離床!)と唱えて子に会いにベビールームへ行った。隣の子が泣いていようがミルクの時間よ〜と言われようが泣きもせず寝続けているようで、ロングスリーパーの夫の血を色濃く感じたが、「帝王切開の子は結構寝るのよ」とのことだった。助産師さんたちが超快適な生活を送らせてくれてるんだろうな、と思った。

部屋に戻って、雨降りだったので、ピアノジャズをかけながら本を読んでいたら点滴とついにおさらばするタイミングがきた。気を遣う管がなくなったのでQOLが少し上がった。夜ごはん、お粥だけだと思っていたらおかずもあったので、テンションが上がった。

寝転がっていたら、尾骶骨が痛くなってきたので、膝を立ててみたが、あまり改善しなかった。尾骶骨は痛いし、時間を持て余したので、運動がてらまた子に会いに行ってみたが、変わらずひたすら寝ていた。翌日から母子同室のスケジュールなので、今日のうちにわたしもたくさん寝ておこう、と部屋に戻った。

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「湧き出る泉のよう!」と言われ母乳はたくさんでるものの、子もわたしもお互いに下手なので、パジャマやブラは汚れるのにうまく授乳できないこと、久しぶりのシャワー中に脇の下の副乳に気が付いて(乳が腫れて脇が膨らんだと勘違いして)、髪生乾きのまま授乳教室に駆け込み問題ないとわかって安心したこと、母子同室初日でほとんど寝ていないこと、おそらくこの3つがかけ合わさり、なぜか授乳教室で号泣したが、その後はケロッとして美味しいごはんと豪華な部屋の備品のマッサージ機でリフレッシュしながら入院生活を終えた。

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退院日の夜は、念願のお寿司をたらふく食べた。1週間ぶりに会った猫たちがあまり歓迎してくれなかったのが寂しかったな…。